2014年3月28日金曜日

論文掲載されました

以前に投稿した論文が、今回、耳鼻臨床学会という学会の学会誌に掲載されました。
好酸球性中耳炎症例の聴力推移というテーマの論文ですが、近年、気管支喘息や慢性副鼻腔炎に合併する難治性の中耳炎が話題になっており、そういった中耳炎では難聴の進行が早いことが問題になるのですが、いかにしてその難聴を食い止めるのかといった内容の論文です。行きつくところ結局は「的確な診断をして適切な治療を行う」ということなんですが、その当たり前に思えることが日常臨床では実は非常に難しいのです。
例えば開業してまだ一ヶ月余りですが、小さなお子様の鼓膜を顕微鏡で何気なく見てみると非常に多くのお子様の中耳(鼓膜の奥の空間です)に浸出液や膿(うみ)が溜まっているのです。もちろん診察時には耳痛などの症状のないお子様です。話を伺うと何度も繰り返して急性中耳炎を繰り返している反復性中耳炎といった状態や無症状であるもののまるで急性中耳炎のような鼓膜所見を呈している遷延性中耳炎と呼ばれる状態に当てはまっております。その状態を治療をせずに放置すると、今後も急性中耳炎を繰り返したり、難聴のため言葉の習得や学校の勉強に支障が出たり、将来的により難治性の中耳炎に移行する可能性があります。
動こうとする小さなお子様の鼓膜を観察し処置することは決して容易ではありませんが、お子様の大切な将来のためにも鼓膜をしっかり観察したうえで的確な診断をし、適切な加療をすることが非常に大事であると考えております。
少しでも地域の方々のお役に立てるようこれからも研鑽を積み重ねていきたいと考えております。